一般社団法人日本福祉用具供給協会
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夢の福祉用具アイデアコンクール 受賞作品のご案内

アイデア応募状況
あったら便利な夢の福祉用具全国46都道府県から総数689のご応募をいただきました。

年代別では10代・20代で全体の約5割を占め、男女別では男性375人、女性313人です。
職業別では学生が250人で、全体の約4割でした。またその中には学校・学級単位での応募と見られるケースもありました。
応募アイデアの内訳は、車いすをはじめとする「移動関連用品」が191で最も多く、次が、「コミュニケーション用品」が87件、「歩行補助用品」が71件と続いています。
今回のアイデアコンクールには、全国各地より小学生から80代の方までと、幅広い年齢層から応募があり、最終的には689作品が審査の対象となりました。特筆すべき点は都道府県のお陰か学生の応募が多く、かつ年代的にも10代と20代で全体の約半数を占めていたことです。このような若い年齢層は、福祉用具を利用される高齢者のお孫さんの世代にあたります。コンクールを通じて、そうした世代に福祉用具の理解が深まることは、福祉用具の普及・一般化という点からも大変意義があることではないでしょうか。

審査にあたっては、アイデア性や話題性、機能性に重点をおきながら、幅広い視点で「夢」を感じさせる作品を選ぶよう心がけました。そして最終選考に残った作品は、どれも甲乙つけがたいものがあり、この中から受賞作品を選ぶことはとても難しい作業であったといえます。

その中で最優秀賞を受賞したのは小金沢美優さん、橋爪啓子さんの「電動歩歩笑み(でんどうほほえみ)」という作品です。ボディースーツ型の福祉用具で、着用すると下肢に障害のあった方も自力での歩行が可能となります。現在、最新の科学技術を使って研究開発が始ったので、将来、作品が実現する可能性もあるかもしれません。自力で歩けなかった方が歩けるようになる、これは私達の社会が長年求めてきた願いであり、その願いを夢に込めたすばらしい作品です。

厚生労働大臣賞は、堀池あけ美さんの「チホーリンガル」という作品です。痴呆症の方の気持ちを翻訳する携帯型ツールで、「介護する側」と「介護される側」のコミュニケーションを支援する夢の福祉用具です。ニーズは高いのに現実には代替するものがないので、夢が実現すれば介護現場で大いに役立つ福祉用具となるでしょう。介護は人と人との心のつながりを大切にしますが、まさしく厚生労働大臣賞にふさわしい作品だと思います。

経済産業大臣賞は、加川伸子さんの「体がずり落ちないベッド」です。体の部位をセンサーが感知し、ずり落ちた時に最適な状態に直してくれます。作者は訪問看護師の方ですが、日頃何とかしたいと願っていた事を夢のアイデアに込めたのでしょう。作品からは明確なニーズが存在するというメッセージも読み取れ、技術立国日本にふさわしく実現に期待したいところです。その意味からも経済産業大臣賞にふさわしい作品だと思います。

応募された作品の中には発想が豊かで、まさしく「夢の福祉用具」という創造性の高い作品。介護者の方の切実な願いを既存の福祉用具の改良に込めた作品。自立支援という機能のほかにも、ファッション性やデザイン性を重視した作品。ネーミングが面白い作品など、まさにバラエティーに富んだ応募結果でした。一方、既に実用化された商品と同じアイデアも多数ありました。
1986年第1回国際保健福祉機器展が開催された時、欧米に比べ日本の福祉用具は機能面、デザイン面など、すべてに見劣っていた記憶があります。あれから20年、関係者の努力で、わが国の福祉用具は発展してきました。しかし、産業界の最先端の技術やデザインが福祉用具に応用されているか、という点ではまだまだです。
いずれにしても作品から発せられるメッセージは、福祉用具の未来を予感させ、それは産業界への提言とも受け取れます。福祉用具法施行11周年という節目に、本コンクールが行われ、夢の実現にむけて福祉用具の一層の開発・普及の道筋の一つが拓かれたことは大変意義深いと思います。
審査委員長 京極 高宣(日本社会事業大学学長)
審査委員
審査委員長
   日本社会事業大学 学長 京極 高宣
委員
  主婦連合会 参与 清水 鳩子
  国立身体障害者リハビリテーションセンター 研究所長 山内 繁
  早稲田大学人間科学部 助教授 藤本 浩志
  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部社会参加推進室長 金井 博
  経済産業省商務情報政策局サービス産業課医療・福祉機器産業室長 藤本 康二
  「福祉用具の日」推進協議会 会長 山下 一平
入賞作品
最優秀賞
◆「電動歩歩笑み(でんどうほほえみ)」
【受賞者】
群馬県 小金沢美優さん(学生)、橋爪 啓子さん(学生)
【アイデア】
下肢に障害があって歩く事が不自由な方の歩行を補助すると共に、歩く事ができなかった方の自力での歩行を可能とするボディースーツ(コルセット)型の福祉用具です。軽量で柔軟性があり、衣服の下に着用して使えます。腕のリモコンスイッチからの電気信号により動きをコントロールできます。

厚生労働大臣賞
◆「チホーリンガル」
【受賞者】
静岡県 堀池あけ美さん
【アイデア】
痴呆症の高齢者と介護者を仲介する福祉用具で、双方の不安を解消できます。痴呆症の方の気持ちや体のサインを読み取り、受信機で「ことばのヒント」を介護者に表示します。発信機に個人の詳細データ(病歴や生活状態等)を登録すれば、より正確な情報を介護者に伝えられます。
経済産業大臣賞
◆「体がずり落ちないベッド」
【受賞者】
長野県 加川伸子さん
【アイデア】
寝ている人の体のサイズ、位置をセンサーが感知して最適な位置でギャッヂアップ(折れまがる)し、より快適な姿勢を可能とするベッドです。また、体動でベッドの下の方に体がずれた場合、摩擦が起こらないようにもとの位置にも移動させてくれます。
最優秀賞
◆「ムーブレット(動かせるトイレ)」
【受賞者】
石川県 新野富ク子さん(介護職員)
【アイデア】
便器に浅くしか腰掛けられなくても、スイッチ操作により、便座が動いてきちんとした位置で排泄ができるトイレ。便器への移乗を助ける福祉用具

◆「カメラの様なメガネ」
【受賞者】
静岡県 前川達洋さん(アルバイト)
【アイデア】
視線によって自動でピント調整を行ってくれるメガネ。遠くのものを見る時と、近くのものを見る時で二つのメガネを使い分けなくてもよくなる
◆ 「なんでも手ぶくろ」
【受賞者】
宮城県 後藤まきさん(小学生)
【アイデア】
手の不自由な方がはめると、文字が書けたり、お箸を使えたり、裁縫ができるようになる手ぶくろ。小型マイクに声で動作を指示。カラフルなのは色んな事をしてくれるという意味です。
◆「Green Walker」
【受賞者】
神奈川県 金井 淳さん(デザイナー)
【アイデア】
歩行者の腰につけた発信機を感知して、自動追尾する機能をもったイス付歩行器。高齢者の方の散歩を快適にすることで健康増進にも役立つ福祉用具です

特別賞
◆「素敵にチェンジ杖」
【受賞者】
神奈川県 松下三津江さん(主婦)
【アイデア】
洋服やTPOに合せて、柄を自由に替えられるT字杖。杖の中は空洞になっており、その中に柄や色つきの棒状のものを差し込んで使用

◆「聴く耳」
【受賞者】
山口県 中村ひとみ さん(専門学校職員)
【アイデア】
掛け声やぼやきに反応して返事をしてくれる。長い昔話にも「ふーん、それで、そうなの」など聴く耳をもって答えます。用途に合わせて声の種類も変えられ、和みをもたせてくれます
◆「おててつないで♪」
【受賞者】
大阪府 森川麻衣子(学生)
【アイデア】
行き先を告げるとその方の手を握り、羽を使ってフワフワ飛んで目的地に安全に誘導をする。目の不自由な方にとって誰かと一緒に歩いている安心感もあり、外出が楽しくなる福祉用具
アイデアコンクール表彰式
10月1日、ヤマハホール(東京・銀座)で「福祉用具の日」推進セレモニー&記念講演が開催され、450名の多くの人にお越しいただきました。その席上で、あったら便利な夢の福祉用具アイデアコンクールの表彰式がとり行われました。